バイクTV
バイクを買いました。
KAWASAKIのZRX-II(mk-2カラー)です。
バイクについて語るほどのあれこれがあるわけではないのですが何か書きます。
ちなみにこの物語はフィクションです。
実在の人物・団体・アカウントとは何の関係もありません。
バイクとの出会いは高専在学中の高2の頃、
先輩のHONDA CB400Fourの後ろに乗せてもらったのが最初だった。
そのときはすっげーなはえーなくらいにしか思わなかったのだが
当時16の私は出かけるのにもいちいち公共交通機関を使わねばならず
デートで海に行きたいってなったらバスに揺られて行くしかないとか
飼いならされた家畜かよみたいに思ってたのでとにかく足がほしかった。
(今思えばバスで海に行くのめっちゃいい)
同時期に仲良くなった機械科の友人がバイクが好きだったのも大きかった。
機械科の人間には二種類しかいない。バイク好きか車好きだ。
彼が春休みに合宿で免許を取ろうとしてたのでそれに便乗した。
費用はバイト代から出した(当時ガストとかビラ配りとかのバイトをしていた)
合宿所では同部屋は全員暴走族という面白いことになっていた。
そもそも高専の人間には二種類しかいない。ヤンキーかオタクだ。
私はそのどちらでもなかったが、どちらともなかなかうまくやっていたので
それ自体は苦ではなかった。部屋では何のバイクが欲しいかの話で盛り上がった。
教官がやたら厳しいのと(スタンドを払う順番間違ったヤンキーは1時間立たされた)
同じ時期の教習に女の子がいなかったことを除けば楽しい教習だった。
そんなこんなで特に躓くこともなく免許を取得した。
続いてバイク選びである。お金がなかったので免許取得から1年近く経っていた。
先輩が10万でFourを譲ってくれるといっていたのだが
引渡し直前にどっかのバカに盗まれその話は流れた(後に見つかったが諦めてた)
それで250の安いやつ(JadeとかHornetとか)を探していた。
なかなか好条件の車両が見つからなかったが、そんなある日赤のZRX-IIを見つけた。
このバイクはいずれ乗りたいとは思っていたのだけど、
最初から400は取り回しきつそうだし車検やらで維持費もかかるしで
候補から外していたのだが、やっぱり圧倒的にかっこいいので勢いで決めた。
費用はバイト代から出した(当時ケーキ屋で働いていた)
本当はmk-2カラーが欲しかったのだけど、さらに高級品だったし
何よりタマ数も多くなかったようで見つからなかったので断念した。
それから2年近くこのバイクでうろうろした。
インターンのときなどはスーツに革靴で400に乗って通勤していたので目立ったし、
片田舎だったこともあってどこかを走っていると必ず目撃証言が出たので
田舎にありがちなエロ専門本屋に行けなくなった。
夏休みなどは適当に友人の家を渡り歩き、泊めてくれる人がみつからないときは
バイク上泊という浮浪者みたいな暮らしもした。
ただ、金がないのでカスタムはまったくしなかった。
当時私は寮に住んでいたのだが、寮はバイク持ち込み禁止である。
見つかったら一発退寮というハートフルな設定があり
チキンな私は歩いて15分の月極駐車場を借りていた。
足として使うには不便すぎたがそれ以上に乗ってるのが楽しかった。
明け方に思いつきでバイクを走らせ、夜が明ければどっか景色の良い喫茶店で
モーニングを食って帰るというステレオタイプな青春が好きだった。
19の夏頃、車の免許も取り、車もお知り合いからお安く入手してしまい
友人たちと出かけたり買い物したりすることを考えると車が便利なので
両方駐車場に置いており、バイクは車検の前に手放そうと思っていた。
しかしその頃お付き合いし始めた人がバイク好きだった。
彼女はまちBBSに名指しで書かれるくらい可愛かったのと
ママチャリのくせに自転車をこぐのが圧倒的に速いことで校内で有名だった。
バイクはないけど速く移動したいのでめっちゃ速くこいでいたらしい。
彼女は当時15歳であり、免許も持っていなかったので
私のバイクの後ろに乗るのが楽しみだったらしい。
「バイクで海に行きたい」の一言で、車検を通し引き続き乗ることを決めた。
ちなみにその3ヶ月後くらいに別れた。ウケる。
その後も時々乗っていたけど、冬がくると実家のガレージにOKIZARIだし
維持費もけっこう厳しいので手放すことにした。
いつか私が富豪になったら、ZRX-IIのmk-2カラーに乗ろうと思っていた。
そして今、富豪にはなれなかったが、そこそこの貯金があるので
一念発起して再びこのバイクを購入したのである。
人間がその暮らしの中で容易に到達することが出来ないものといえば、
宇宙、空、深海などがあるが、それに加えて実はもうひとつある。
それは「スピード」の中である。
普通に生きてたら体感できないスピードに至るには、
エンジンなり何なりが必要である。
バイクのスピードによって私は別世界に存在することが出来た。
車でも自転車でもよかったんだろうけど、私はバイクが一番好きだった。
あの頃、バイクは足であり翼だった。
そのエンジン音に乗せて私をユークリッド距離的に遠くに運び、
また何物にも代え難きスピードの領域まで連れて行った。
それがただ楽しかったのだと思う。
社会に出て趣味的なものに時間をかけることが難しくなっているし
長く乗っていられるかわからないのだけど、適度に乗って遊べたらなと思います。
バイクTV おわり