負帰還増幅回路

私たちの冷たいコーラ活動

デュトワ・ボストン交響楽団の来日公演

先日コンサートに行ってきましたのでその感想を書こうと思いまうs。

Twitterでのキャラ的に特にこういう話題にニーズが有るとも思いませんが、貧弱なボキャブラリーを駆使してがんばります。感想文書くの何気に久しぶりです。

 

私が観に行ったのはシャルル・デュトワ指揮、ボストン交響楽団の来日公演です。

http://eplus.jp/sys/web/s/boston/index.html

私は金曜日のプログラムの方を観に行きました。ここからですます調やめます。

 

 

私が最も好きな管弦楽曲である幻想交響曲がメインのプログラムで、しかも世界的なオーケストラの演奏で聴けるとなると少々お求めにくい価格のチケット代も払ってやろうじゃんという気分になりノリノリでチケットを取ってしまった。

この来日公演は当初ロリン・マゼール氏という現代の巨匠に数えられる指揮者が来日予定だったのだが、一ヶ月前に健康上のアクシデントとやらで降板せざるを得なくなり、その代役としてこれまた巨匠であるシャルル・デュトワ氏が振ることになったというもので、マゼール指揮目当ての人(私もそうでしたが)は残念だったのではと思う(デュトワ氏は比較的よく来日してる方なのでありがたみ度合いでいうと少し劣る感)

とはいえデュトワ氏+ボストン交響楽団の演奏もそれはそれで興味があるので(特例の)払い戻しはせず聴きに行くことに。ボストン交響楽団は世界でも有名なオケだが来日は15年ぶりとのことなので、私が生まれてからは一度も来日してない計算になるな。

 

1曲目はグリンカ作曲の歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲。コンサートの幕開けにふさわしい爽快で華麗な序曲。あまりいろんな演奏を聴き比べたことがないので妥当な感想は言えそうにないが、デュトワ氏の棒はうまく軽快さを引き出していたのではと思う。

 

2曲目はチャイコフスキー作曲のヴァイオリン協奏曲ニ長調

これは個人的な思い入れもあり室内楽の中ではトップクラスに好きな曲(プログラムに好きな曲が2曲入ってないといくら有名なオケでも行くのを躊躇ったりするので)。映画「オーケストラ!」で題材にされているのもあり割と有名なのだと思う。

ソリストジャニーヌ・ヤンセン氏という若い女性ヴァイオリニストで近年評価が高まっているらしい。自分は若手(?)のソリストはほとんど知らないので初めて知り初めて聴くことになる。

ヤンセン氏の演奏は特にゆったりとした旋律での歌の部分が秀逸だと感じた。この難曲を弾きこなすヴィルトゥオジティは当然のこと、艷やかで流麗な歌がデュトワ氏の抑えるところは抑える巧みなオーケストラコントロールと、オケの豊かな響きと相まって素晴らしかった。普段自分がよく聴く音源と比べると荒々しく弾き切る部分では少し物足りないかなと思うこともあったが、情熱的な良い演奏だったと思う。演奏後は拍手が鳴り止まずアンコールに応えJSバッハの無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番サラバンドを演奏し、演奏自体についてはこっちのほうが好みだったかも。

 

最後のプログラムはお目当てのベルリオーズ作曲の幻想交響曲

この曲は中学生(今もですが)の頃から好きで唯一10枚以上音源を持っている曲ということもありいろいろな演奏を聴いているので、それらとの違いや新しい発見があるといいなあと意気込んで鑑賞。どんだけこの曲を好きかとか曲自体の説明をし出すとそれだけでブログエントリが10個くらい書けてしまうのでここでは割愛(書けるけど書くとは言ってない)(ニーズがありそうでしたら書きます)

第1楽章「夢、情熱」では出だしからその華麗な表現に圧倒された。複雑で色彩豊かなオーケストレーションが特に際立つ楽章であるが、ボストン交響楽団のどこかフランス的な響き(上手く説明できないがなんかフランスっぽいみたいなのがある)(伝われ)によるものと、それを上手く引き出しているのはさすが双方ともこの曲を得意としていると言われるだけのことはあるなと感じる。生演奏だからということもあるが、とりわけ木管の響きが素晴らしすぎる。

第2楽章「舞踏会」、ここも引き続き優雅で楽しげな音楽、あまり特別なことはせず心地よいテンポ感と音量でスマートにまとめている感じ。

第3楽章「野の風景」はこれまで聴いた中では一番良かったかもしれない。(特にCDなどの再現演奏だと個人的に)割と退屈に聴こえがちな楽章でもあるが、それを飽きさせず絶妙な緊張感と空気感で制御していた印象。コーラングレオーボエの掛け合い、ティンパニのロールによる不穏な気配の演出、どれも上手いと思えた(有名オケ相手に何でこんな上から目線なんだろう)。

第4楽章「断頭台への行進」。これはこのオケの面目躍如といった感じで豊かでよく鳴るオケを活かしたダイナミックレンジの見事さ、とても高揚する。金管セクションは本当にすごくて、終末への推進力となる強烈なリズム感を伴う旋律、フォルテッシモの上限どんだけだよって感じで煽る棒、自在でこなれた強弱緩急、どれも「あっこれ良いやつや」としか思えなかった。

第5楽章「魔女たちの夜宴」、ここは私の中でベスト演奏が別の指揮者(ケーゲル、ちょっとやばい演奏)のものなので比較しないように聴いてたけど、とにかくオケが上手く、デュトワ氏の解釈を余すことなく表現できているように感じられた。ソプラニーノクラリネット上手すぎて失禁するかと思った。チューバを始めとする金管の怒りの日、迫力のあまり心のなかでは失禁してた。狂乱の中でフィナーレを迎え、演奏終了後は大拍手とブラボーの嵐。これ最初にスタンディングオベーションしてた人、遠目からちらっと見ただけだけどどうやら小澤征爾氏だったようですね(ちなみに小澤征爾氏は長らくボストン交響楽団で振っていたので、それを鑑みるとボストン交響楽団の色を上手く出せていたから、というのもあると思う)

 

複数回引っ込んだ後も続く拍手に応えアンコールではビゼー作曲アルルの女第2組曲よりファランドール。めっちゃ楽しそうに弾いててこれまた気持ちいい演奏。て、鉄板曲だ、と思った。

 

全体的な感想としては、マゼール氏からの急遽代役とはいえデュトワ氏の得意曲ばかりだったこともあるのか、ソリストもプログラムも一切変更なしで1ヶ月でこれほど仕上げられるのは流石といった印象。なかなか生で聴けないオケではあるけど、世界的という評価は伊達じゃないと思った。人生で一番高いチケット(S席37000円ってコーラ何本買えるんだよ)だったが観に行けて本当に良かった。

 

唯一残念だった点は座席。S席ではあるのだけど、取った時期がやや遅かったのもありかなり前方の下手側の席だったため、ソリストの演奏や指揮者の入退場(笑)は見やすいのだけど、サントリーホールの前の方はステージに対して随分と低いこともあり、オケを全体的に見られなかったのが残念。特に幻想交響曲ではいろいろとパーカッションを始めとする特殊な奏法(複数人ティンパニ叩いたりとか)といった見どころもあるので、それが見られなかったのが心残り。指揮者の表情はよく見えたし、やや生音寄りに聴こえがちな箇所もあるもものの響きは十分だったので音響的な不満はそこまででもなかった。あと終演後またデュトワ氏が出てきたのでずっとあそこに座ってたら握手してもらえたっぽい(ホール出ようとした時に気づいた)(ミーハークソ野郎なのでチャンス逃したのちょっと残念だった)

http://instagram.com/p/j6efkZutZV/

お求めにくい価格のチケット

 

 

http://instagram.com/p/n5ywNaOtTE/

ミーハークソ野郎なのでヤンセン氏のサインもらいました。

 

興味が有る人もいるかもしれないので幻想交響曲の割と特殊な箇所(指揮者やオケごとに違いが出やすいところ)について、わかったところだけ適当にまとめておきます。

  • 2楽章のハープは2台
  • 3楽章のオーボエは指定通り舞台裏から演奏
  • 4楽章のティンパニは5台、大太鼓2台
  • 5楽章の鐘は高い音で舞台裏から(たぶん普通のチューブラーベルズ)(※)
  • 5楽章のピッコロ・フルートとホルンによる怪鳥の鳴き声はグリッサンドあり
  • 5楽章怒りの日の旋律はオフィクレイドではなくピストン?チューバ(たぶん)
  • 5楽章のコルレーニョ奏法、割と弦の音が出てた

※5楽章の鐘は作曲者の指示では「十分に低い音の鐘、でなければピアノ3台使え」なので高い音使うからには指揮者独自の解釈がある。高い音の鐘を使う指揮者も割といる(マゼール氏も高い音ですね)。

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。

コンサートに行くという行為は時間とお金を使ったとても贅沢な過ごし方です。CDなどの再現演奏の技術がどれだけ向上しても、楽器そのものが作り出す空気の振動、豊かな倍音のある響きなどを直接感じるのはコンサートでなければ経験できません。みなさんも機会があれば是非行ってみましょう。

ご参考までに演奏動画貼っておきます。この日の指揮者や楽団ではないですが比較的聴きやすい(と思う)ので、どんな曲か聴いてみたい方はどうぞ(気に入ったら買いましょう)

 


チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 - YouTube

 

ベルリオーズ「幻想交響曲」第4、第5楽章/ロリン・マゼール - YouTube

 

 

とまあここまで普段あまりTLでも言ってないようなことを長々と書きましたが、コンサートやクラシック音楽(いまいちこのジャンル分けよくわからんけどそういうものがあるというていで)がお好きな方や興味が有る方は是非お話しましょう。

 

おわり